多発性骨髄腫

 







 

多発性骨髄腫は、血液のがんの一つです。30歳代後半からお年寄りまでの広い年齢層で発症しますが、特に60〜80歳代の人に多い傾向があります。この病気は、全身にある骨の骨髄で起こります。「腰痛や貧血、手足のしびれ」などの症状が見られます。

多発性骨髄腫は、成熟段階の白血球の一つである「形質細胞」に突然変異が起こったものです。形質細胞は、リンパ系の血液細胞で、最も成熟した段階の細胞です。これに対して、白血病の中でも患者さんの多い「急性白血病」は、未熟な段階の血液細胞に突然変異が起こります。

形質細胞は、本来外部から侵入した病原菌に対して「抗体」を作る働きをしています。病原体には、さまざまな形がありますが、形質細胞は、その形に合わせて、臨機応変に抗体を作ります。形質細胞は、また、新たに侵入してくる病原体に備え、絶えず分裂を繰り返しています。一個の細胞が2個に分裂するには、遺伝子を2倍に増やしたあとで、1個の細胞分ずつに均等に分ける必要があります。この遺伝子を2個に分ける際に、ミスが起こることがあります。このようなミスが起こると、性質の異なる形質細胞が作られています。これを「突然変異」と呼んでいます。体の中では、約100万〜500万回の細胞分裂につき、1回程度の頻度で、突然変異が起こっています。

性質の異なる形質細胞には、弱いものもあれば、強いものもあります。弱いものは自然に消滅していきますが、まれに、性質の異なる強力な形質細胞が現われ、骨髄で無制限に増殖することがあります。このような細胞を「骨髄腫細胞」といい、これによって起こるのが、多発性骨髄腫です。

★造血障害・・・骨髄内で、骨髄腫細胞が異常に増えるため、正常な造血が妨げられ、赤血球や白血球、血小板の数が少なくなります。赤血球が減ると貧血が起こります。白血球が少なくなると、抵抗力が低下して、感染が起きやすくなります。血小板が減ると、出血しやすくなります。

★腎機能障害・・・骨髄腫細胞は形質細胞同様「Mたんぱく」という抗体に似たものを作ります。Mたんぱくは、役に立たないたんぱくですから、体は「老廃物」と認識して、尿中に排泄しようとします。ところが、Mたんぱくは、病原体に付着する性質をもつ、抗体に似た成分であるため、細胞や組織に付着することがあります。そのため、腎臓で血液が濾過される際に「糸球体」というフィルターの役割をしている組織に付着して、目詰まりを起こします。その結果、老廃物を体外にこし出すことができなくなり、「尿毒症」などの重篤な病気になることもあります。

★骨折や神経障害・・・骨髄腫細胞から破骨細胞を増やすホルモンのような物質がつくられるため、破骨細胞が増加して、骨からカルシウムが過剰に溶け出します。そのため、転倒などの衝撃がないのに、突然骨が折れたり、変形することが起こります。

★多臓器不全・・・一部のMたんぱくは、ちぎれやすい性質をもつことがあります。そのため、全身のいろいろな部位に「アミロイド」と呼ばれるMたんぱくの破片がたまり、関節の軟骨にたまると「関節のこわばり」の原因となり、舌にたまると、舌が異常に大きくなる「巨舌」や「味覚障害」の原因になります。また、心臓にたまると「不整脈」を起こし、突然死の原因になることもあります。

★視力障害・・・Mたんぱくは、細胞に付着しやすいため、赤血球同士をくっつけて、赤血球がつながってしまうことがあります。そのため、網膜などの細い血管の血流を妨げて、視力障害を引き起こします。

★意識障害・・・カルシウムが血液中に過剰に流れ出すと「高カルシウム血症」が起こり、意識障害が起こる場合があります。また、骨髄腫では、血液中のアンモニアが増加する「高アンモニア血症」が起こり、意識障害に至ることもあります。

漢方では、それぞれの症状にあった漢方薬を使用します。現在の患者さまは17名です。

 

 
 
 
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