食道がん

 







 

食道はのどの奥から胃の入り口までの長さ25cmぐらい、太さ2〜3cm、厚さ4mmの管状の臓器です。食道の大部分は胸の中を通り、首の一部から 、横隔膜の下あたりまであります。食道は身体の中心部にあり、胸の上部では気管と背骨の間にあり、下部では心臓、大動脈と肺に囲まれています。

食道は、口から食べた物を胃に送る働きをしています。食べ物を飲み込むと重力で下に流れるとともに、筋肉でできた食道の壁が動いて 食べ物を胃に送り込みます。食道の出口には、胃内の食べ物の逆流を防止する機構があります。食道には消化機能はなく、食べ物の通り道です。

食道の壁は粘膜上皮、粘膜固有層、粘膜筋板、粘膜下層、固有筋層で構成され、食道の内側は食べ物が通りやすいように粘液を分泌するなめらかな 粘膜でおおわれています。粘膜の下には筋層との間に血管やリンパ管が豊富な粘膜下層があります。食道の壁の中心は食道の動きを担当する筋肉の層です。筋層の外側の外膜は周囲臓器との間を埋める結合組織で、膜状ではありません。

食道がんはこの一番内側の粘膜に発生します。日本人の 食道がんの90%以上はこの「扁平上皮癌」で、60〜70歳の男性に多く発病します。 他には「腺癌」と呼ばれるタイプの食道がんがありますが、日本人には少なく10%以下です。 頻度はまれですが、食道にはそのほかの特殊な細胞でできたがんもできます。「未分化細胞癌」、「癌肉腫」、「悪性黒色腫」などのほかに、粘膜で はなく筋層などの細胞から発生する消化管間質腫瘍も発生することがあります。

食道の内面をおおっている粘膜から発生したがんは、大きくなると粘膜下層に広がり、さらにその下の筋層に入り込みます。もっと大きくなると食道の壁を貫いて食道の外まで広がっていきます。食道の周囲には気管、気管支や肺、大動脈、心臓など重要な臓器が近接しているので、がんが進行しさらに大きくなるとこれら周囲臓器へ広がります。
食道の壁の中と周囲にはリンパ管や血管が豊富です。がんはリンパ液や血液の流れに入り食道を離れ、食道とは別のところに流れてそこで増え始めます。
リンパの流れで転移したがんは、リンパ節にたどり着いてかたまりをつくります。 食道のまわりのリンパ節だけではなく、腹部や首のリンパ節に転移することもあります。血液の流れに入り込んだがんは、肝臓、肺、骨 などに転移します。

食道がんの原因については、喫煙と飲酒が要因とされています。特に「扁平上皮癌」ではその関連が強いことがわかっています。また、喫煙 と飲酒が関係してリスクが高くなるともいわれています。

症状で多いのは、ものが飲み込みにくいことです。飲み込むときに、痛み、灼熱感を感じることもあります。痛みは胸焼けのように感じ、みぞおち、 胸の骨の後、背中で感じます。食べ物の通過がまったくできなくなると食事ができなくなり、食べたり飲んだりするともどします。 食べ物がつかえると食事量が減り、低栄養となり体重が減少します。その他リンパ節の転移により声がかれることがあります。全身転移すれば様々な 痛み等の症状があります。
がんが食道の壁を貫いて外に出て、まわりの肺や背骨、大動脈を圧迫するようになると、胸の奥や背中に痛みを感じるようになります。 食道がんがかなり進行して気管、気管支、肺へ及ぶと、むせるような咳が出たり血のまじった痰が出るようになります。

<病期>

0期 … がんが粘膜にとどまり、リンパ節、他の臓器、胸膜、腹膜にがんがない状態です。初期がんです。

I期 … がんが粘膜にとどまっているが、近くのリンパ節に転移があるか、または粘膜下層まで浸潤しているが、リンパ節や他の臓器や胸膜、腹膜にがんがない状態です。

II期 … がんが筋層を越えて食道の壁の外に少しがんが出ている、または食道のがんの近くのリンパ節にがんが転移して、他の臓器や胸膜、腹膜にがんが無い状態です。

III期 … がんが食道の外に出ているとき、食道壁にそってあるリンパ節、または食道のがんから少し離れたリンパ節にがんが転移して、他の臓器や胸膜、腹膜にがんがない状態です。

IV期 … がんが食道周囲の臓器に転移している、またはがんから遠いリンパ節にがんが転移している、または他の臓器や胸膜、腹膜にがんが転移している状態。

治療は手術、放射線療法、化学療法が主体です 食道癌の患者さんは、食事がしにくい人が多く、栄養が不良となっていることが多いので、手術前に高カロリーの点滴をして栄養を改善する必要が ある場合があります。 手術には食道を全部または一部切除して胃などで置き換えるものと、非常に初期の場合に腫瘍だけ内視鏡でとる粘膜切除があります。 食道をとるには普通は肋骨の間から胸を開き、切除します。右側の胸を開けることがほとんどです。

 

 
 
 
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