
がん |
|||||||||||||||||||||||||||
|
|
胃がん 「胃がん」 は日本人に非常に多く、現在も患者さんの数は減っていません。しかし、早期発見・早期治療されるケースが 増えていることから、死亡率は低下しています。同時に新しい治療法の開発も進み、胃がんの治療成績は向上しています。 胃壁は、胃の内側から外側に向かって「粘膜、粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、 漿膜」という五つの層から成り立っています。胃がんでは、がん組織の広がりが、粘膜下層までの場合を、「早期がん」といい、その下の固有筋層以上に浸潤しているものを「進行がん」といいます。早期がんは、進行がんに比べ、リンパ節などに転移する割合が少なくなります。特に粘膜内にがんがとどまっているいれば、転移していることはほとんどありません。 胃がんの治療法にはいくつかありますが、患者さんのがんの発生部位や進行度、進行のしかたを考慮して選びます。胃がんの進行のしかたは、一般的に次の4つのタイプに分けられます。 @リンパ行性・・・病巣から、がん細胞がリンパ液の流れにのって、リンパ節に転移するものです。 A血行性・・・がん細胞が血管の中を血流にのって、胃から離れた臓器に生着するものです。肺や肝臓などのほか、いろいろな骨にも転移します。 B腹膜播種(ふくまくはしゅ)・・・がん細胞が病巣からちょうど種を播くようにおなかの中に散らばって生着し、増殖するものです。症状が進むと、おなかに水の溜まる「腹水」が起きたり、腸の通りが悪くなる「腸閉塞」になります。 C直接浸潤・・・すい臓や肝臓など、胃のすぐ隣にある臓器に、がん細胞が直接的に食い込んでいくタイプです。 漢方では、扶正培本・・・免疫力を高める。活血化瘀・・・血行を高める。清熱解毒・・・抗炎症、抗菌、抗ウイルス。軟堅散結・・・しこりをやわらかくし、取り除くなどの方剤を使用します。
肺がん 「肺がん」は、がんの細胞の組織のタイプによって「小細胞がん」「腺がん」「扁平上皮がん」「大細胞がん」の四つに分けられます。また、がんが発生した場所によって「中枢型肺がん」と「末梢型肺がん」に分けることもあります。 タイプによる分類 ★小細胞がん・・・がん細胞が比較的小さく、太い気管支の粘膜の下など、肺の入り口にできやすいがんです。性質的には悪性で、進行が速いため、発見されたときはすでに、リンパ節などへの転移がかなり進んでいることが多くなっています。そのため、手術では切除しきれないと判断されるケースがよくあります。ただ、小細胞がんは、抗がん剤や放射線に敏感に反応する性質があり、化学療法や放射線療法がよく効きます。 ★腺がん・・・がん細胞が腺管のような形を形成し、粘液を分泌する性質を持ちます。気管支の末梢部にできやすい性質があります。 ★扁平上皮がん・・・がん細胞が層状に配列し、肺の入り口にできやすい性質があります。 ★大細胞がん・・・がん細胞が大きく、気管支の末梢部にできやすく、進行しやすい。また、転移しやすい。 発生部位による分類 ★中心型肺がん・・・気管やそれから枝分かれした太い気管支の辺りの「肺門部」と呼ばれるところにできるがんです。中心型肺がんは、肺の入り口近くにできるため、「咳、痰、血痰」などの症状が早期に現われます。しかし、こうした症状は風邪の症状と似ているため、がんのサインだとは気づかないこともしばしばあります。ただ普通の風邪であれば、1〜2週間で治りますが、中心型肺がんの初期症状の場合は、ずっと続きます。症状が一ヶ月以上続き、なおかつ、熱や鼻水、のどの異常など、風邪特有の症状がなければ、肺がんの可能性を疑い、検査を受けるべきでしょう。中心型肺がんは、がんが進行して大きくなると、気道を狭くするため、痰や咳のほかに「息苦しい、声が出しにくい」などの症状が現れます。 ★末梢型肺がん・・・枝分かれして細くなった気管支や、その先にあるぶどうの房のような肺胞など、肺の奥のほうにできるがんです。末梢型肺がんは、太い気管支から遠く離れた部分にできるため、初期の段階では呼吸に何も影響がなく、自覚症状は現れてきません。がんが大きくなって初めて、「咳、痰、血痰」などの症状が現れます。 ★進行がんになると・・・進行がんになると、呼吸困難、発熱、胸の痛み、声が出にくくなる、手のしびれ、顔面発汗、眼球陥凹、瞳孔の収縮、ばち状指など、さまざまな症状が現れます。これは、中心型肺がんでも末梢型肺がんでも同様です。また、がんが転移すると、転移先の臓器の症状も現れます。例えば、脳に転移すると頭痛が起こったりします。 漢方では、肺毒血熱型に対しては、毒邪を解除し、瘀血を除去し、血分の熱邪を除去する漢方を使用します。また、肺瘀痰結型に対しては、脾を強化し、小便の出を良くし、湿邪を排出させ、痰を除去して、結塊を消散させる漢方を使用します。また、肺熱陰虚型に対しては、陰液を滋養し、肺を湿潤にし熱毒を消解する漢方を使用します。 肝臓がん 肝臓がんは最近増える傾向にあり、特に50〜60歳代の男性に多く見られます。肝臓がんには、肝臓自体にがん細胞が発生する「原発性肝がん」と胃がんや大腸がんなどほかの臓器のがんが肝臓に転移した「転移性肝がん」とがあります。 ●慢性肝炎や肝硬変からがんに移行する 原発性肝がんは、慢性肝炎→肝硬変→肝臓がんという経過で発症することが多く、肝臓がんの患者さんの85〜90%の人はこのような経過をたどっています。そのため、慢性肝炎や肝硬変を治療中の人はがんが発生していないか、血液検査、画像検査、組織検査などで定期的に調べる必要があります。 血液検査・・・肝機能を調べる一般的な検査のほかに、「腫瘍マーカー」の値を調べます。腫瘍マーカーとは、腫瘍があると血液中に増える物質です。肝臓の腫瘍マーカーにはAFPやPIVKA-U(フィブカーツウー)ガあります。 ●がんの進行度 治療の際には、がんの大きさ、数が問題となります。あまり大きなものや、小さくても3〜4個あるときは手術できない場合があります。また、がんが肝臓のどこにあるあるかも問題になります。大きな血管ののすぐそばにあると、手術による出血も多く、切除する際にがん細胞が血流にのって転移する可能性もあるため、手術ができないこともあります。 ●肝臓の予備能力 肝臓は、健康な状態では、約70%の切除にも耐えられます。普段は予備能力としてかなり力を温存しているのです。ところが、慢性肝炎や肝硬変になると、予備能力が大幅に低下している場合は、できるだけ肝臓に負担の少ない治療法を選択します。 大手町薬局では、肝臓がんの患者さまが多く、ほとんどの方が、手術のできない大きながんや、がんの数が多い方や肺や他の場所に転移している方です。漢方としては、瘀毒不化型に対しては、瘀血を取り除き、毒邪を清解する、また、結塊を消散させる漢方薬を使用します。熱毒蘊結型に対しては、熱毒を清解し、肝火を退散させ、胆汁を通利させる漢方薬を使用します。また、邪実体虚型に対しては生気を強化し、病邪を駆除する漢方を使用します。 前立腺がん 前立腺とは、膀胱と尿道の境目にあって、尿道を取り囲んでいるクルミ大の器官で男性だけにあるものです。前立腺からは、精液の一部を構成する前立腺液を分泌しています。前立腺がんは、前立腺肥大症とともに近年増える傾向があり、これは、平均寿命がのびて老人が増えているからばかりでなく、食生活が欧米化していることも原因しています。 初めに見られる症状は、排尿が中断する。排尿に時間がかかる。夜間に何度もトイレに行く、残尿感があるなどの前立腺肥大症と共通した症状です。前立腺がんは、骨に転移しやすい性質があり、そのためその周辺に痛みが起こります。しかし、高齢になると、骨粗しょう症などで腰やあちこちの骨に痛みをうったえることが多くなるので症状だけでは前立腺がんと見分けることが難しくなります。 PSA(前立腺特異抗原)検査PSAとは、前立腺がんになると血液中に増える物質のことで、いわゆる「腫瘍マーカー」の一種です。
大腸がん 日本では大腸がんは非常に増えており、2015年には、胃がんや肺がんを抜いて、日本人に最も多く見られるがんになると予想されています。大腸がんが増加している最大の原因には、食生活の欧米化が考えられています。近年になって、日本人は動物性の脂肪やたんぱく質をたくさんとるようになりました。また、野菜や穀物類などの植物繊維の摂取量が減少し、日本人の食生活全体が欧米化しています。このような食生活の変化が、大腸がんの増加をもたらしているのではないか、と考えられているのです。また、遺伝的な要因もあると言われていますが、はっきりしたことはわかっていません。環境的な要因としては、家族では、似たような食生活を送っているため、家族の中で大腸がんになった人がいれば注意が必要であるといえるでしょう。 大腸がんの三大症状といわれるのが、血便、腹痛、便秘の異常です。ただし、腹痛や便秘の異常は、ふだんから起こりやすい症状ですから、最も重要な症状は血便といえます。血便が出るのは、がんができると、便が大腸を通過するときに、がんの病巣部とこすれて出血するためです。しかし、大腸がんができた部位によって、血便がはっきり確認できる場合とできない場合があります。例えば、がんが肛門に近い直腸やS状結腸にできた場合は、便に血液が混じっているのがはっきり確認できます。ところが、がんが、大腸の奥のほうの上行結腸や横行結腸などにできている場合は、血液が便と混ざり合っているため、肉眼で見分けるのが難しくなります。また、「痔」になった場合も、血便がでるため、大腸がんと間違えやすいものです。ただし、痔の血便と大腸がんの血便は、多少異なります。痔の場合は出血量が多く、鮮血が出ます。時には、下着やトイレットペーパーに真っ赤な血液が付くこともあります。一方、大腸がんの場合は出血の量が少なく、便に血が筋のように付いていたり、便が少し黒っぽいという形で現れることが多いのです。 早期がんと進行がん・・・大腸がんの壁は内側から粘膜固有層、粘膜筋板、粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜など、幾つもの層に分かれています。このうち、がんが粘膜固有層から粘膜下層までにとどまっているものを早期がんといい、粘膜下層を越えると進行がんといいます。ただし、早期がんでも、粘膜下層にまで広がったものは、リンパ節などへ転移している可能性もあります。 大腸がんの治療のために使用する多数の抗腫瘍剤には程度不等の骨髄抑制を起こします。また、使用量の増加に従い赤血球、白血球、血小板の抑制が現れます。それを改善する漢方薬を服用することで免疫力や体力が高まります。 子宮がん 子宮がんは、子宮の入り口(頸部)にできる「子宮頚がん」と子宮の奥(体部)にできる「子宮体がん」の二つに分けられます。この二つは、がんの発生する部位の細胞の種類や、がん化する原因に違いがあると考えられています。 子宮頚がん・・・40〜50歳代に多いがんです。子宮の入り口近くにできるため、検査を行いやすく、発見しやすいがんです。一般に子宮がん検診といわれているのは、子宮頚がんの検診です。 50歳代後半の人に最も多く見られます。子宮体がんは、かつて日本人には少なかったのですが、近年徐々に増えており、子宮がん全体の30%程度を占めています。子宮の奥の方にできるため発見しにくく、子宮体がん検診は子宮頚がん検診ほどには普及していません。 子宮体がんの進行度は、がんの広がり方によって、次のT〜W期に分類されます。 ▼T期・・・子宮体部内にとどまっている。 ▼U期・・・子宮頚部まで広がっている。 ▼V期・・・子宮を越えて広がったり、骨盤内のリンパ節などに転移している。 ▼W期・・・骨盤を越えてほかの臓器へ広がっている。 この分類は、子宮体がんの進行度を示すものですが、必ずしもT期から順をおって進行するとは限りません。T期からU期を経ずにV期へと進行するようなこともあります。 子宮体がんには、自覚症状として不正出血があります。これは進行度に関係なく、T〜W期のどの場合でも現れます。閉経後に不正出血がある場合には特に注意が必要です。不正出血がある人のなかでも、年齢が高くなるほど子宮体がんの可能性が高くなります。 がん細胞の増殖、あるいは転移が生体の中で起こるとき、がん細胞を取り巻く環境、つまり生体全体の状態によって、増殖の勢いなどが、かなり影響を受けているということがわかってきたのです。時にはがん細胞があるにもかかわらず、生体全体のコンディションによっては、がん細胞の増殖が止まったり、なかには消失する可能性もあるとさえ言われているのです。そうだとすれば、がん細胞の周囲の状況を整えるという、一見、がん治療とは遠い距離にあると思える方法が、実はがん治療のなかで重要な役割を果たすかもしれません。つまり、漢方薬で全身の状況をかなり良い状態に保つことによって、がん細胞の増殖などを抑制できるのではないだろうか、ということです。 卵巣がん 卵巣は骨盤の中にあり、子宮をはさんで両側に一個ずつあります。子宮の大きさは鶏卵くらいですが、卵巣は大人の親指ぐらいの大きさです。この卵巣が、文字通り卵を作り、おおよそ28日周期で排卵して、私たち人間の生殖機能において、大切な役割を果たしているのです。また、同時に、女性の生理や感情をコントロールしている卵胞ホルモンや黄体ホルモンなどの女性ホルモンを出す内分泌器官でもあります。 卵巣がんは、乳がん、子宮がんと同様に女性特有のがんの一つです。そして、ホルモン依存性という点で、乳がん、子宮がんと同じ系統です。この中で、卵巣がんは最も少ないのですが、発見されにくく、転移しやすいという危険があります。どうしてかといいますと、卵巣は腹腔の奥深く、骨盤のなかにありますから、乳房や子宮のように外から簡単に中の様子を確認できないのです。その上、卵巣は腹腔の中で無防備な状態におかれています。これが子宮なら、厚い子宮筋が保護壁の役割をしていますから、内部にがんが発生しても、それほど急には転移しません。しかし、卵巣は排卵しなければなりませんので、保護するものもなく、まるではだかの状態なので、がんができると飛び散りやすいのです。 卵巣は表層上皮、胚細胞、性腺間質、間質からなり、卵巣の腫瘍はこのうち、どの部分にもできます。ですから種類が多いのです。 卵巣がんは初期には、まったく自覚症状がなく、一番タチが悪いとされています。実際には腫瘍が大きくなって、下腹部が張ったり、硬いしこりを感じてはじめて受診する例が多いのです。でも、ここまでくると、卵巣はすでにこぶし大以上の大きさになっています。 やがて大きくなった卵巣が膀胱や直腸、周囲の神経を圧迫して頻尿、無尿、便秘、腰痛、下腹部痛などを引き起こします。また、ホルモンの分泌がくるって、月経異常や不正出血が起きます。腹水や胸水がたまったり、卵巣と子宮をつなぐ細い茎の部分がねじれる茎捻転になることもあります。こうなると、がんであれば腹腔内や子宮に転移し、リンパ管、血管に入って全身に転移している可能性があります。 消化器がんの転移再発や卵巣がんの転移では、おなかにがん細胞がばらばらと散らばる腹膜播種(ふくまくはしゅ)になりやすく、その場合、末期がんには、がん性腹膜炎を併発することがよくあります。腹水が2〜3リットルもたまって圧迫されるような鈍痛に苦しむ。がん細胞がリンパ管を閉塞するので、滲出液が血管外に漏れ出し、腹腔内に溜まるからです。腸管に浮腫ができて食欲が低下したり、下肢がむくんだりもします。このような場合の腹水は、利尿薬の効果がでにくいので、漢方薬のブクリョウ・タクシャ・ビャクジュツ・チョレイなどが配合された処方を使用します。 すい臓がん すい臓は、胃に隠れるように胃の裏側に横たわっている長さ15cm、厚さ2cmぐらいの細長い臓器です。すい臓の中央には、すい管というすい液の通り道があり、途中で肝臓から出てくる胆汁の通路と合流して、十二指腸にある乳頭で開口しています。 すい臓の役目は大きく分けると二つあります。一つは、外分泌機能です。アミラーゼ、トリプシン、リパーゼなどの大切な消化酵素を大量に含んだすい液を一日に約2リットル排出します。これらの酵素によって食物が分解され、吸収されて栄養となり、最終的には私たちが生きていくエネルギーとなるのです。 もう一つの役目は、内分泌機能です。これはインスリンなどの血液の糖分を調整するホルモンを分泌する機能です。すい臓は、胃や腸などのように目立たない臓器ですが、このように非常に重要な働きを担っているのです。 すい臓がんは、男女を問わず、最近かなり増えています。がん死亡率は、胃がんや子宮がんは減ってきているのに対し、すい臓がんでの死亡は増加の一途をたどっています。すい臓は腹部の奥深いところにあるため、早期発見が簡単にはできないので、治療困難ながんの一つとなっているのです。 すい臓がんの症状は、がんの出来る部位によっても違います。十二指腸に近いすい臓の部分をすい頭部といいますが、この部分にがんができると、まず、みぞおちのあたりの上腹部に痛みがでます。あるいは食欲がないとか、時には黄疸が現れることもあります。 ある程度進行すると、はっきりと黄疸が出たり、腹痛も激しくなり、背中や腰の痛みや体重の減少が伴ってきます。黄疸がでるのは、がんが胆管をふさいでしまい胆汁が十二指腸に流れないため、血液中に胆汁の成分が逆流するからです。 すい体尾部にがんが発生した場合には、患部が胆管とは離れているので黄疸は出ません。食欲不振や腹痛などの症状がでます。あるいは糖尿になったり、糖尿病の人が急に血糖値をコントロールしにくくなるというかたちで、すい臓がんが発見されることがあります。 がんが進行し、すい臓の後ろ側にある神経まで広がると、背中や腰に激しい痛みをもたらします。体重が減ったり、上腹部にしこりができたりもします。 漢方では、去於散結の方剤を使用します。八月札・香附子・枸杞・夏枯草・蒲公英・丹参・鬱金・川楝子・広木香などを使用します。
|
||||||||||||||||||||||||||